ChatGPTの悩み相談は危険?肯定され続ける怖さと安全な使い方

午前三時に打ち込んだ長文に、数秒で返事が来る。しかも、こっちの気持ちを全部わかってるような文面で。

読んで、少し楽になる。で、翌日また打ち込む。

この繰り返しを一ヶ月続けた頃に、なんか変だなと感じる時がある。

目次

二種類の怖さを持っている

打ち込んだ内容が漏れるのが怖い側

会社の話、家族の名前、不倫の相談。そういうものを入力した後で、これどこに残るんだろうと不安になるパターン。

現実的な話をすると、やりとりは基本的に事業者側のサーバーに保存される。設定次第で学習に使われるかどうかは変わるし、そこは各社が説明を出してる。ただ、少なくとも自分のパソコンの中だけで完結してるわけじゃない。

自分の頭がおかしくなるのが怖い側

もう一つは、精神的な依存のほう。個人的には、こっちのほうが厄介だと思ってる。

いつでも聞いてくれる。絶対に怒らない。呆れた顔もしない。この条件が揃った相手と毎晩話してると、じわじわ何かがズレていく。何がズレるのかを、これから書く。

一番の落とし穴は、否定されないこと

技術的な危険より、俺が怖いと思うのはここ。

AIは、目の前の相手を助けようとする方向に動く。だから基本的に、こちらの言い分を受け止める側に回る。相談者を否定して突き放すようには作られてないから、当然といえば当然。

問題は、相談って半分は否定されるために持っていくものだってこと。

相手はこちらの話しか聞いていない

彼氏がひどい、と入力すれば、その前提で答えが返ってくる。

当たり前だよね。向こうは彼氏に会ったことがない。あなたの説明が世界の全部。

友達なら、いや彼にも事情があるんじゃない?と言ってくる。共通の知人なら、あんたにも問題あるよ、とすら言う。その一言が入らない場所で、一ヶ月も自分の言い分だけを補強し続けたら、どうなるか。

逆の立場で入力すると、同じように味方をする

これ、試してみるとぞわっとするよ。

俺、実際にやったことがある。ある揉め事について、自分の側から書いて相談した。当然、こっちに寄った答えが返ってきた。

そのあと、別の画面を開いて、相手側の立場になりきって同じ揉め事を書いた。

同じように、そっちの味方をしてきたのよ。

しばらく画面を見つめて、はぁ…って声が出た。俺は答えをもらったつもりでいたけど、もらってたのは自分の言い分の言い換えだった。

卓で女性たちが求めていたのも、同じ肯定だった

夜の店で毎晩やってたことが、まさにこれだったから、余計に他人事じゃない。

味方でいてくれる人にしか、話せなくなる

三十過ぎの常連さんが、深夜に長い愚痴を吐き出した後、ぽつりと言ったことがある。

「友達に話すと、あんたも悪いって言われるじゃん。ここだと言われないから来てる」

その時は、ありがとうございますって笑って返した。でも内心、ずしっときてたわ。

彼女は解決しに来てたわけじゃない。責められない場所に避難しに来てた。俺の卓は、彼女にとって否定が入ってこない部屋だった。

これ、深夜のチャット画面と、機能としてはほぼ同じでしょ。

相談してるつもりで、決断を先延ばしにしていた

もっと言うと、話すこと自体が目的になっていく。

話すと楽になる。楽になるから、行動しなくても済む。本来なら別れる、辞める、伝えるといった面倒な決断が必要な場面で、吐き出すことがその代わりになってしまう。

いちばん危ないのは、そこ。相談が、行動の代替品になる状態。

俺が営業で毎晩やっていた、肯定の作り方

現役の頃を思い出すと、自分がやってたことの気持ち悪さが今になってわかる。

売れていた時期は、否定を一切しなかった

数字が良かった年、俺は徹底して受ける側に回ってた。

何を言われても、まず肯定。彼氏の悪口が出れば一緒に呆れて、仕事の愚痴が出れば全面的にこっちの味方。異論は挟まない。挟むと、次の来店が減るから。

売れる。めちゃくちゃ売れる。ただ、あれは相談に乗ってたんじゃなくて、居心地のいい部屋を売ってただけ。

三年通っていた子が、何も変わらなかった

一人、忘れられない子がいる。

同じ悩みを三年間、ほぼ同じ言葉で話してた。相手の男の話。俺は三年間、同じように寄り添ってた。

ある日、別の従業員が横から、それもう別れたほうがいいですよって普通に言ったのよ。彼女、ぱたっと黙った。それから来なくなった。

あとで人づてに聞いたら、その男とは別れたらしい。

俺の三年より、あいつの一言のほうが役に立った。三年だよ。優しく聞き続けることは、時に何もしないのと同じなんだって、あの時ようやく理解した。

情報の扱いで、気をつけるべき線

精神論だけじゃなく、実務的なところも書いとく。

自分のことより、他人の話のほうが危ない

自分の恥は、自分の責任で入力すればいい。

まずいのは、他人の実名、勤務先、家庭の事情。相談内容ってだいたい他人が登場するから、無自覚に第三者の情報を打ち込むことになる。

その人は、自分の話がどこかのサーバーに保存されることに同意してない。ここは意識しといたほうがいい。

残る前提で打つ

履歴は消せるものが多いけど、削除の反映やバックアップの扱いはサービスごとに違う。

だから、人に見られたら終わるレベルの内容を打つときは、名前を伏せる。それだけでもだいぶ違う。

それでも、使ったほうがいい場面はある

危ない危ないと書いてきたけど、全否定する気はない。

深夜に吐き出す場所としては、かなり優秀

夜中の三時に友達を起こすわけにいかないでしょ。

頭の中でぐるぐるしてるものを、とりあえず文章にして外に出す。この作業自体には効果がある。書いた時点で、悩みの半分は形が見えるから。

相手が人間じゃないぶん、気を遣わずに済むのも大きい。何度同じ話をしても、うんざりされない。

人に言う前の下書きとして使う

これが一番、実害なく使える形だと思う。

彼に伝えたいことを整理する。上司に出す文面を練る。感情のまま送ると事故る文章を、一度冷やす場所として通す。

判断は自分でする。整理だけ外注する。この線を引けてる人は、そんなに危なくない。

危なくならない使い方の、地味な工夫

実際にやってみて、効いた方法を二つだけ。

意見じゃなく、反論を求める

どう思う?と聞くと、こっちに寄った答えが来る。

だから聞き方を変える。この件で、相手側の言い分を一番強い形で書いて、と頼む。あるいは、私の言い分の穴を三つ挙げて、と。

これをやると、急に景色が変わる。読んでてイラっとするけど、そのイラっとが必要なやつなんだよね。

最後は人間に持っていくと決めておく

画面の中で完結させないこと。ここが分かれ目。

整理はAI、判断は自分、報告は人間。この順番を決めておくと、依存の方向に落ちにくい。

そのうえで、眠れない日が続いてるとか、消えたい気持ちが出てるとか、そういう段階に来てるなら、話す相手は画面じゃなくて医療機関のほうがいい。深夜に受けてくれる公的な窓口もある。必要なら調べ方は伝えられる。

楽になったかどうかで、判断しないほうがいい

会話の後に楽になるのは、当たり前なのよ。楽になるように応答してくれるんだから。

見るべきは、その翌日に何か動いたかどうか。

三ヶ月使って、悩みの中身が一ミリも変わってないなら、それは相談じゃなくて避難になってる。俺の卓に三年通った子と、同じ場所にいる。

聞いてもらうことと、変わることは、別の話だから。

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