キスはするけどやらない女の心理

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キスは予告じゃなくて、確認だった

後輩から深夜二時にラインが来たことがある。 キスまではするんですけど、そこから先に進ませてもらえなくて、これ脈ないってことですか、と。長文だった。しかも二通に分かれてた。 俺の返事は一行で送った。脈はある。ただお前、読み違えてるよ、と。

段階だと思っているのは、こちら側だけ

男の頭の中では、手を繋ぐ、キスをする、その先へ、という並びになってる。階段みたいに。ひとつ上がったら次があると思ってる。 女性側は同じ絵を見ていないことが多い。キスは階段の途中じゃなくて、その日の気持ちを確かめる行為として使われてる。 今この人といて嫌じゃないか。触れられて体が固まらないか。それを確認してる。確認して、うん大丈夫だった、で終わる。終わっていいものなんだよ、あれは。

明日の約束じゃない

店で聞いたなかで、いちばん腑に落ちた言い方がある。 「キスは、その日好きだったってことだよ。明日の約束じゃないから」 ざらっとしたけど、正確だと思った。 こっちは契約書にサインをもらった気でいる。相手は今日の日記を書いただけ。ここのズレが、脈なしという誤解を生んでる。

止まる理由は、拒絶じゃなくて保留

決めたくない、がいちばん多い

嫌いだから止まるケースって、実はそんなに多くない。会いたくない相手とは、そもそもキスまで行かないでしょ。 止まる理由の大半は、まだ決めていないから。この人とどうなりたいのか、自分でも答えが出ていない。答えが出ていない状態で先に進むと、答えが出たことになってしまう。だから手前で止める。 拒絶と保留、外から見た形は同じ。中身は全然違うのに。

渡すと、関係が固定される

体の関係が入ると、その関係に名前がついてしまう。付き合ってるのか、そうじゃないのか。都合のいい相手なのか。 名前がつくと、逃げ場がなくなる。名前をつけたくない時期の人にとって、そこは扉じゃなくて締め切りなんだよ。 「一回したら、次から会う理由がそれになるじゃん。それが嫌なの」 そう言った女性がいた。会う理由が減っていくのが怖い、という話だった。

好きだから止まる、という順番もある

これ、男には一番信じにくいところだと思う。 どうでもいい相手なら勢いで進める。壊したくない相手ほど慎重になる。失敗した時の損失が大きいから。 本命だから止まる、という動き方は普通にある。俺は長いこと信じてなかった。信じられるようになったのは、自分が同じことをした側になってから。

ホストクラブで見た、確定させない関係

何年も通って、線を越えない客

夜の店には、この心理の極端な形が並んでる。 担当と体の関係を持たないまま、三年、四年と通い続ける女性がいた。誕生日にはシャンパンを入れる。旅行の土産を持ってくる。それでも越えない。 一度、理由を聞いたことがある。 「したら終わっちゃう気がするから。今のままなら、まだ好きでいられるでしょ」 確定させないことが、関係を延命させてた。

決められない時間が、そのまま続く

先輩に言われたことがある。決めさせようとするな、決められない時間が売上になるんだ、と。 商売としては正しい。ただ、これをそのまま恋愛に持ち込むと、相手の人生の時間を人質にすることになる。だから、この話は仕組みの説明として置いておくだけにしたい。 知っておいてほしいのは、保留という状態そのものが、けっこう心地いいものだということ。悪意がなくても、人はそこに居座れてしまう。

都合のいい男にされているのか、その見分け方

不安の中身って、たぶんここでしょ。愛されてるのか、暇つぶしなのか。心理の話より、これは行動を見たほうが早い。

昼に呼ばれるかどうか

夜しか会わない関係は、判定が難しい。昼の予定に入れられるかで、だいたい見える。 平日の昼、休日の午前、映画館、美術館、なんでもいい。明るいところで長時間一緒にいる予定が組まれるなら、少なくとも人として一緒にいたい相手ではある。 夜だけ、しかも急に呼ばれる形が続くなら、そこは疑っていい。

予定の決め方に出る

こちらの都合を先に聞くか、自分の空きを先に出してくるか。 今週いつ空いてる?と聞かれるのと、金曜なら空いてるけどどう?と言われるのでは、置かれてる位置が違う。 後ろに合わせろという形が続くなら、順番として下に置かれてる。

他の人に会わせるかどうか

これがいちばん出る。友達、同僚、家族。誰か一人でも紹介されたなら、隠す対象じゃない。 逆に、半年経っても誰にも会わせない、SNSにも一切出てこない、共通の知人ができない。この状態は、意図的に外に出さないようにしてる。 ただ、慎重なだけの人もいる。一回で決めつけず、時間の経過で見たほうがいい。

詰めた瞬間に、終わる

俺がやらかした夜

二十代の頃、同じ状況になった。何度も会って、何度もキスまで行って、そこで止まる。 ある夜、車の中で聞いてしまった。俺のこと、どう思ってるの、と。 言った瞬間、空気がかちっと固まったのを覚えてる。ひやっとした。 彼女はしばらく黙って、ごめん、と言った。その日以降、連絡の間隔が伸びて、消えた。 (聞かなきゃよかった) 今でもそう思う。答えを持っていない人に、答えを要求したから。

説明を求めると、保留が結論になる

なんで進ませてくれないの、と聞くのは、相手に判定を強制すること。 まだ決めていない人が、その場で決めろと言われたら、安全な側に倒す。断るほうが被害が小さいから。 つまり、追及した時点でノーが確定する。保留のままなら残っていた可能性が、質問一回で消える。 そして、こっちを見てほしい。 「押されたら冷めた。押されるまでは、たぶん行くつもりだったんだけどね」 これを言った女性の顔、忘れられない。

体を渡さない理由を、相手は説明する義務を持ってない。理由がなくても止まっていいものだし、途中で気が変わってもいい。ここだけは動かないところ。

同じことをしている側なら

曖昧さは、相手の時間を使っている

止まっていいのは前提として、その状態を何ヶ月も続けるなら、相手の時間が減っていることは知っておいたほうがいい。 悪いことをしてるという話じゃなくてね。ただ、待たせている自覚があるかないかで、関係の壊れ方が変わる。

伝え方を一段だけ変える

まだ考え中、と言えるかどうか。それだけでいい。 黙って止まると、相手は拒絶として処理する。処理された結果、勝手に諦められて終わることがある。 今はここまで、でも嫌なわけじゃない。この一言があるだけで、待つ側は待てるんだよ。

現実的な置き方

期限を切らず、頻度だけ見る

三ヶ月で判断する、みたいな線引きは意味がない。人によって速度が違いすぎるから。 見るなら会う頻度の推移。増えているなら進んでる。同じなら止まってる。減っているなら、答えはもう出てる。 言葉より、間隔のほうが正直だよ。

進まない関係を、どこに置くか

半年、一年と同じ場所で止まったまま、他の可能性を全部捨てて待つのは、しんどいだけ。 待ちながら、自分の生活を止めない。他の人と会うのもいい。趣味に時間を戻すのもいい。 不思議なもので、待つのをやめた頃に動き出すことが多い。焦りが抜けた相手を見て、初めて安心する人がいるから。

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