彼氏いるのに他の男と遊ぶ女性心理

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ハザードを焚いた車が、迎えに来る

店の外まで見送りに出たら、路肩に車が停まってた。ハザードを焚いて。 彼氏の迎え、と彼女は言って、じゃあね、と手を振って助手席に乗り込んでいった。こつん、とドアの閉まる音がして、車は普通に走り去った。 三十分前まで、俺の隣でシャンパンを飲んでた人。 こういう夜は珍しくもなんともなかった。指名客の七割くらいには、彼氏がいたから。

指名客の七割には彼氏がいた

彼氏いるのに他の男と遊ぶ女性心理、なんてキーワードで検索するくらい悩んでる人には申し訳ないんだけど、俺の職場はその現象の集積地だった。 彼氏持ち、婚約中、既婚。むしろフリーの客のほうが少数派。 だから、彼女たちが何をしに来ていたのかは、たぶん日本で一番近い距離で見てきた側だと思う。

裏切りの現場、ではなかった

先に感触だけ言っておくと、あの場所は浮気の現場という空気ではなかった。 もっと事務的というか、補給基地に近い。何かを受け取って、機嫌よく帰っていく。帰る先は彼氏のところ。 この構図が分かってから、彼氏いるのに他の男と、という行動の読み方が変わった。

買いに来ていたのは、恋愛の代わりじゃない

家で配給が止まったものの補充

付き合いが長くなると、彼氏からの供給が止まるものがある。 褒め言葉。会話の相槌。今日の服への反応。女として扱われる時間。 生活は続いてるのに、この辺の配給だけが先に止まる。止まった分を、外で補充する。それが他の男と遊ぶという行動の中身であることが、すごく多い。 恋愛を探しに来てるんじゃなくて、恋愛の中で品切れした物資を取りに来てる。似てるようで全然違うでしょ。

換気、という考え方

二人の関係って、密室なんだよ。長くいると酸素が減る。 外の男と会って、笑って、少し褒められて、空気を入れ替えて、また密室に戻る。 皮肉な話だけど、彼氏の知らないところで、彼氏との関係が延命されてたりする。換気しなければ、もっと早く煮詰まって終わってた関係を、外の空気が保たせてる。 もちろん、全部がそうだとは言わない。だから型を分ける必要がある。

五つの型に分かれる

換気型

いちばん多い。恋愛感情はほぼ動いてない。 目的は息抜きと気分転換で、会ったあとは彼氏のところへ機嫌よく帰る。彼氏の話を隠さないのが特徴で、むしろ楽しそうにする。 この型の女性を落とせると思って粘る男は、時間だけ溶ける。彼女の中であなたは窓であって、扉じゃないから。

承認補給型

換気型の近縁だけど、もう少し切実。 可愛いと言われる回数が、年単位でゼロになってる人。女として見られる感覚だけを外で受け取りに来る。 服装に気合いが入ってて、褒めた時の反応が大きい。ただ、触れられる距離には入れない。欲しいのは言葉までで、その先は求めてない。

天秤型

ここから空気が変わる。今の関係に不満が積もっていて、次の候補を品定めしてる状態。 サインは愚痴の質。彼氏のダメなところを並べたあとに、別れようかな、が挟まるようになる。そして未来の話に、あなたが登場し始める。 この型は本当に動くことがある。動くことがあるからこそ、乗る側は自分が比較審査の途中にいることを自覚しておいたほうがいい。

保険型

いちばん人を消耗させる型。 自分から別れを切り出す勇気がないので、着地点を先に確保しておきたい。別れたら付き合えるかも、を匂わせながら、別れない。匂わせは続くのに、日付は永遠に来ない。 待たされてる側の時間だけが、じりじり減っていく。

ただの友達型

これも実在する。学生時代からの友人、昔の同僚、腐れ縁。 特徴は情報が全部オープンなこと。会うことを彼氏が知ってる。会う場所も昼が多い。隠す動機が最初から存在しない。 逆に言うと、どれかひとつでも隠されてるなら、この型ではない。

店で聞いた本音

ここに来ると、女に戻れる

「彼氏のことは好きだよ。でもね、彼はもう私を褒めないの。ここに来ると、女に戻れるんだよね」 五年付き合ってる彼氏がいる常連の言葉。 彼女は月に二回来て、二時間だけ喋って、終電で帰る。指輪を外すこともなかった。 浮気心とは別の場所にある行動だと、この人を見てて思うようになった。

別れる勇気が出るまで、隣にいてほしい

「私さ、たぶんずるいんだよ。別れる勇気が出るまで、隣にいてほしいだけかもしれない」 酔った夜に、ぽろっとこぼした子もいた。 自分で保険型だと分かってる人は、ちゃんと苦しそうだった。ずるさの自覚がある分、余計に。 言われた側の男がどうなるかも、彼女は分かってた。分かってて、やめられないと言ってた。

彼氏と別れたら、来なくなった客

遊びは、彼氏とセットだった

二年通ってくれた客がいた。彼氏の愚痴と惚気を半々で話す、典型的な換気型。 ある月、別れた、と報告された。慰めて、その日はいつもより長くいた。 で、翌月から来なくなった。ぱたりと。 最後の連絡にあった一文が忘れられない。もう、ここじゃなくてよくなっちゃった、と。 店は彼氏との生活の換気口だった。密室が消えたら、換気も要らない。他の男と遊ぶという行動が、彼氏の存在を前提に成立してたわけ。この逆説、伝わるかな。

別れてから本気になられて、困った話

逆のケースもあった。彼氏がいる間は綺麗な距離感だった客が、別れた途端に本気でこちらへ来た。 遊びの器に入ってたものが、行き場を失って全部こっちに流れてきた感じ。正直、受け止めきれなかった。 彼氏がいる状態の楽しさと、いなくなった後の関係は、別物として考えたほうがいい。これは遊ぶ側の男にも言えることだけどね。

他の男側にいるなら、三つで判定する

自分がどの型の相手にされてるのか。見る場所は三つでいい。

彼氏の存在を、最初から開示しているか

出会って早い段階で、彼氏いるんだけど、と言ってきた人は、先に線を引いてる。線を引いた上で会うのは、換気か友達の枠。 聞かれるまで言わなかった、あるいは隠してた場合、線を曖昧にしておきたい動機がどこかにある。天秤か保険の可能性が上がる。 開示のタイミングは、思ってる以上に本音が出る場所だよ。

愚痴が、相談なのか同意の要求なのか

彼氏の愚痴を、どうしたらいいと思う?と聞いてくるなら、関係を直したい側。あなたは相談役で、恋愛の候補ではない。 ひどくない?ありえなくない?という同意の要求が続いて、そこに、別れようかな、が混ざり始めたら、天秤が揺れてる。 揺れてる天秤の皿に乗るかどうかは、自分で決めればいい。ただ、皿の上だという自覚だけは持っておくこと。

彼氏はあなたを知っているか、の一撃

迷ったら、これを聞けば大体終わる。 俺と会ってること、彼氏知ってるの? 知ってるよ、と即答されたら白寄り。あなたは公認の友達枠。 言う必要なくない?とか、言ったら面倒だから、と返ってきたら、あなたは隠されてる側。隠す理由があるということは、この関係に後ろめたさが含まれてるということ。 この質問、相手の型と同時に、自分の置かれてる位置も分かる。聞くのが怖い人ほど、聞いたほうがいい。

彼氏側にいるなら

問い詰めると、潜るだけ

誰と行ったの、なんで言わなかったの、と詰めると、行動は止まらずに報告だけが止まる。 見えていたものが見えなくなる。これが一番まずい状態。 スマホを見る行為も同じで、証拠が出ても出なくても、関係の土台のほうが先に割れる。

禁止より、開示の約束

異性と二人で会うの禁止、というルールは、まず守られない。守れない約束は、隠し事の練習にしかならない。 守られやすいのは開示のルール。誰とどこへ行くか、事後でもいいから言い合う。もちろん自分も同じ条件で。 言える関係でいる限り、遊びは換気の範囲に収まりやすい。言えなくなった時が、本当の黄色信号。

止まっている配給を、確認する

彼女が外で受け取ってるものは、家で品切れしてるもの。 外で褒められて嬉しそうなら、最後に褒めたのはいつか。外で話を聞いてもらってるなら、最後に遮らずに聞いたのはいつか。 責める前に、自分の棚を見る。外注が始まるのは、いつも品切れの後だから。 もやっとする話だと思う。でも、ここを飛ばして相手だけ責めても、配給は再開されない。

天秤に乗せられた夜の話

別れようかな、と言われて喜べなかった

私生活の話。彼氏持ちの女性と、月に一回くらい飲む関係が続いてた時期がある。 ある夜、彼氏の愚痴の流れで言われた。別れようかな、あなたみたいな人がいいのかも、って。 喜ぶ場面のはずでしょ。好きだったし。 なのに、胸の中がもやっとしただけだった。あ、俺いま面接されてるんだ、と思ったから。彼氏の椅子が空きそうだから、次の候補として査定されてる。選ばれるんじゃなくて、選び直されようとしてる。 その違い、うまく言えないんだけど、体は分かってた。 かっこいい台詞は言えなかったよ。ただ次の月から、じわじわ返信を遅らせて、会わなくなった。逃げた自覚はある。今でもたまに、あれでよかったのか考える。

あのハザードの車を思い出す。助手席のドアが閉まって、彼女は彼氏の隣に帰っていく。俺の三時間は、あの助手席を続けさせるためにあった。 外の男は、換気口か、天秤の皿か、保険の書類か。どれだったとしても、主役の椅子じゃないことのほうが多い。 それを知った上で座るなら、誰も止めない。知らずに座ってる気がするなら、一回だけ聞いてみるといい。彼氏、俺のこと知ってるの?って。

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