グータッチする男性心理|脈ありとノリだけを分ける決定的な差

じゃ、また。そう言いながら、拳をこっちに突き出してくる。

反射でこつんと当てて、改札を通って、三十秒後にはもう考えてる。今の、なんだったんだろって。

好きな人にされたら余計に厄介なんだよね、あれ。

目次

拳を出す男の頭で起きていること

触れたいけど、手を握るのは踏み込みすぎる

男の中には、触れたい気持ちと、嫌われたくない気持ちが同時にある。これ、片方だけの人ってほぼいない。

手を握れば意思がはっきりしすぎる。肩を叩けば馴れ馴れしい。頭に手を伸ばすのは、まぁ、令和だとけっこう危ない橋。

そこで残るのが拳なの。皮膚が触れる面積は指の関節二つぶんくらい。時間にしてコンマ数秒。触ったのに、触ってないことにもできる。

ずるい接触。でも本人はそこまで計算してないことも多い。手が勝手に出てる。

断られても、なかったことにできるから

これが一番でかい理由かもしれない。

拳を出して、相手が返してくれなかったとする。手を握ろうとして避けられるのと比べたら、傷は十分の一で済む。ノリだったのに、で処理できる。

つまりグータッチって、失敗の被害を最小にしたまま距離を測る行為なわけ。臆病さと好意が、同じ形をして出てきてる。

だから脈があるかないかで言えば、少しはある。少しは、ね。ただそれが恋愛の方向を向いてるかまでは、拳だけでは判別できない。

その場の空気を締めたいだけの日もある

仕事が終わった、企画が通った、飲み会が盛り上がった。

そういう瞬間に出る拳は、感情の行き場がないだけ。相手が誰でも起きる。テンションの排気口みたいなもんさ。

こっちを女性として見た結果というより、その場にいた人間として扱われてる。ここを取り違えると、あとで結構しんどい。

ノリと脈ありが分かれるのは、当たった後の一瞬

引くのが早いか、少し残るか

当てて、すぐ引く。これは体育会のノリ。

当てて、コンマ二秒くらい止まる。これはちょっと違う。本人も気づいてないけど、名残惜しさが手に出てる。

俺がホスト時代、後輩に教えてたのはこの一点だけ。当てたあと、一拍だけ置け、と。効くから。えげつないくらい効くから。

逆に言えば、あなたに向けられた拳がすっと消えていったなら、そこには何も乗っていない。

拳より、目のほうが正直

手を出す瞬間に、相手の顔がどこを向いてるか。

こっちの目を見て出してくるなら、意識してる。手元を見ながら出してくるなら、照れてるか、ただの流れ作業か。

あと、当てたあとに視線を外す速さね。ばっと外す男は、心拍が上がってる。飄々としてる顔の下で、内側がざわっとしてるパターン。あれは分かりやすい。

誰にでもやってるかを確かめる方法

一番手っ取り早いのは、その人が同性にも同じことをしてるかを見ること。

男同士でやってるのを見かけたら、その拳は挨拶の一種。あなた専用の動きではない。がっかりする必要もなくて、ただ情報が一つ増えただけ。

大事なのは頻度の変化のほうさ。最初はしなかったのに、ある時期から急に出るようになった。この変化があるなら、その人の中であなたの位置が動いた可能性が高い。回数より、いつ始まったか。

ホストクラブで女性たちが言っていたこと

女として見られてない、と落ち込んだ人

三十代の常連さんが、シャンパンのグラスを持ったまま真顔で言ってた。

グータッチされた時点で、私は友達枠に入れられたんだって。

理由を聞いたら、女に対してあんな拳の出し方する?と返された。抱きしめるとか、手を握るとかじゃなくて拳って、要するに男友達扱いでしょ、と。

その解釈が全部正しいとは思わない。ただ、そう受け取る女性が確実にいることを、男側はほとんど知らない。俺も店に立つまで想像すらしてなかった。

握られるより嬉しかった、と言った人

まったく逆のことを言った子もいてさ。二十代半ばだったかな。

いきなり手を握られてたら、たぶん引いてた。拳だったから、この人ちゃんと考えてるんだなって思えた、と。

彼女にとって拳は、距離を守ってくれた合図だったわけ。踏み込んでこなかったことが、そのまま誠実さに変換されてた。

同じ動作なのに、受け取る側で意味が丸ごとひっくり返る。この仕事してて何度も見た現象なんだけど、いまだに慣れない。

拳のあと、二週間で関係が動いた話

もう一人、印象に残ってる話がある。

職場の人に別れ際にグータッチされて、その二週間後、同じ別れ際に今度は手を握られたらしい。何が変わったのって聞いたら、たぶん彼が、私が拳を嫌がらなかったのを見たからじゃない、と。

拳は前振りだったってこと。あれで拒絶されなかったから、次に進めた。

男は、そういう順番でしか動けない生き物だったりする。臆病なんだよ、ほんとに。

元ホストの俺にとって、グータッチは道具だった

頭ポンは重い、握手は硬い、その隙間にあったもの

現役時代、お客さんとの距離の詰め方で一番使ってたのが拳だった。

頭に触れると、その日のうちに特別扱いの意味がついてしまう。握手は改まりすぎて、逆に他人行儀。腕を組むのは、まだ早い相手には強すぎる。

その全部を避けて、なおかつ何かが起きた感じは残る。グータッチだけが、あの隙間にすっぽり入ってた。

正直に書くと、営業の道具として磨いてた。かっこよくないけど事実なので。

宙に浮いた拳の話

二十一の頃だったと思う。あるお客さんの帰り際、いつもの調子で拳を出した。

返ってこなかった。

彼女は普通に手を振って、タクシーに乗って、行った。俺の拳だけが、店の前の歩道でぽつんと残った。しーん、って音が聞こえた気がした。

あのときの恥ずかしさは今でも覚えてる。(うわ、俺、今めちゃくちゃダサいな)って。先輩に見られてたのも最悪だった。

あれで学んだのは、拳は軽い動作に見えて、外したときのダメージがそこそこ重いってこと。だから男は、そこそこ勝算がある相手にしか出さない。

本気の子にだけ、拳しか出せなかった

これが一番情けない話。

営業では平気で距離を詰められたのに、本当に好きになった相手には拳しか出せなかった。手を握るのが怖くて、握れなくて、代わりに拳を当ててた。

向こうからしたら、この人ノリで済ませてくるなって見えてたと思う。実際は真逆。真逆なのに、そう伝える方法を持ってなかった。

はぁ…あの頃の自分を殴りたい。ぐっと拳を握って何もできない男って、遠目には余裕があるように見えるらしいよ。中身は空っぽなのにね。

出された側が取れる、返し方の幅

ノリで返すときの温度

普通に当て返すだけで、その場は終わる。何も起きないし、何も壊れない。

ただ、関係を進めたい気持ちがあるなら、当て返すときの速さを少しだけ落としてみて。ワンテンポ遅らせるだけで、相手の中に引っかかりが残る。

小細工に見えるけど、これ効く。俺が後輩に教えてたやつの逆輸入みたいなもんだね。

一段だけ上げてみたいとき

拳を当てたあと、その手で相手の手首を軽く押すとか、そのまま笑って何か一言足すとか。

言葉のほうが安全なら、なんでグータッチなの?って聞いてしまう手もある。答えに詰まったら意識してる。ノリだよって即答されたら、その日はそこまで。

聞くのが怖いのは分かるよ。でも聞かずに三ヶ月悩むより、五秒で終わる。

その気がないときの畳み方

避けるより、返して普通にしてるほうが後腐れがない。避けた拳って、けっこう長く相手の中に刺さる。

回数が増えて距離が近づいてきたと感じたら、そこで一回だけ返さない日を作る。それで引く男なら、初めから深い意味はなかったってこと。

言葉で断る必要はない。手の動きは、手の動きで返せば足りる。

拳は、開いていない手のこと

グータッチって、握手のできそこないみたいな形をしてる。

手のひらを見せないまま触れてる。中に何を握ってるのかは、当てた側にしか分からない。空っぽかもしれないし、言えなかった言葉が丸めて入ってるのかもしれない。

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