いい女は早く結婚するは本当か|遅い人に共通していた事

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いい女は早く売れるからね、と隣で言われた夜

いい女は早く売れるからね。 隣の卓から、誰かがそう言ったのが聞こえた。悪気のある言い方じゃなかったと思う。世間話の流れで出た一言。 俺が担当していた客が、グラスを持つ手を止めた。三十八歳、通い始めて四年目の人。 何も言わずに、氷を一回だけ回した。からん、と音がして、それで終わり。話題は別のところへ流れていった。

その一言が、どこから来ているか

売れる、という言い方が全部を表してる。 いい商品は早くなくなる。棚に残っているものは、何か理由がある。その理屈を、そのまま人に当てはめてるだけなの。 人は商品じゃないから、と言うのは簡単でしょ。ただ、言われた側はそう簡単に振り払えない。あの日の彼女みたいに、黙って氷を回すことになる。 だから、正面から中身を検証したほうがいいと思って、この記事を書いてる。

早く結婚した人に共通していたのは、人柄じゃなかった

店には長く通ってくれる人がいる。四年、五年と見ていると、その間に結婚する人が出てくる。 早かった人と遅かった人、両方を見てきた。早く決まった人に共通していたのは、魅力の量じゃなかった。

求める条件が、少ないか、はっきりしている

条件が三つくらいで、しかも具体的な人は早い。 年収がこのくらいで、この地域に住めて、優しい人。これだけなら、探す範囲が決まるから、見つかるまでが短い。 逆に、条件が曖昧に多い人は時間がかかる。優しくて、話が合って、清潔で、価値観が近くて、親と仲が良すぎず悪すぎず、みたいな。ひとつずつは正しいのに、全部揃う人を探すと母数が消える。 これは良し悪しの話じゃないよ。時間のかかり方が違うだけ。

環境が、先に整っていた

学生時代から付き合っている人がいた。職場に候補が多かった。親や地元の空気が、早く決めるものだと言っていた。 この条件が揃っている人は、本人が急がなくても早く決まる。 つまり、早婚の何割かは、本人の性質じゃなくて周りの都合で説明がつく。

決断が速い

最後にこれ。迷う時間が短い人。 店での飲み物の選び方でも出るの。メニューを三秒で閉じる人と、五分悩む人がいる。三秒で閉じる人は、だいたい他のことも速い。 速いのが偉いわけじゃない。ただ、決めるのが速い人のほうが、結果として早く結婚する。当たり前といえば当たり前でしょ。

むしろ、逆に働くことがある

選択肢が多いほど、決まらない

「選択肢があるほど決められないの。少なかったら、たぶん即決だったと思う」 そう言った常連がいた。彼女は、客観的に見て相当もてる人だった。 誘いが多い。選べる。選べるから、比較が始まる。比較が始まると、いま目の前にいる人より良い人がいるかもしれない、という計算が入る。 魅力があることが、決断を遅らせる。皮肉だけど、そういう仕組みになってる。

急ぐ理由が、そもそも少ない

自分で稼いでいて、生活が回っていて、友達もいる。この状態にいる人は、結婚を必要としていない。したいかどうかとは別に、必要ではない。 必要じゃないものを、人は急いで取りにいかない。 だから、条件のいい人ほど遅くなる場面がある。これは欠陥じゃなくて、単に急ぐ理由がないだけ。

断れる、ということ

そして、見送る力を持ってる。 合わないと思った相手を、ちゃんと断れる。断れる人は、途中で止まる回数が多いから、結果として時間がかかる。 断れない人のほうが早く決まる。早く決まったこと自体を、良いことだと言い切れるかというと、そう単純でもないと思う。

店で聞いた本音

二十四で結婚した友達の話

「二十四で結婚した友達いるけど、別にいい女じゃなかったよ。彼氏ができたのが早かっただけ」 笑いながら言ってたけど、これがけっこう正確な観察だと思う。 悪口じゃないの。その友達を貶しているというより、早さと人物評価は関係ないという指摘。

じゃあ私は何なのって思った

「いい女は早く売れるって言われてさ。じゃあ私は何なのって思った」 これを言われた時、俺は何も返せなかった。 慰めの言葉は全部安っぽく聞こえるし、そうじゃないですよ、と言っても根拠を出せない。 今なら、この記事に書いていることを話せると思う。あの時は無理だった。

この説が、実際に何をしているか

焦らせる道具として使われている

この言葉が事実かどうかより、使われ方のほうが問題なんだよ。 親から言われる。友達に言われる。ネットで目に入る。そのたびに、独身であること自体が欠点の証明にされる。 検証されないまま、圧力としてだけ機能してる。

焦って選ぶと、条件のほうを曲げる

焦りが入ると、判断がどう変わるか。 相手を良く見るんじゃなくて、自分の条件を下げる方向に動く。ここは目をつぶろう、ここは我慢できる、と。 その時に目をつぶった部分が、何年か後に必ず出てくる。曲げた場所が、後で折れるところになる。

三年で離婚した子を見て

「焦って結婚した子がいてね。三年で離婚してた。あれ見て、私は待とうって思った」 これも店で聞いた話。 早く結婚したことが悪いんじゃない。焦りで判断を変えたことが響いた。同じ早婚でも、納得して決めた人は続いてた。

ただし、時間の話は別にある

ここは正直に書いておきたい。

子どもを望む場合の制約は、実在する

妊娠のしやすさに年齢が関わるのは事実で、そこを無視して大丈夫とだけ言うのは不誠実だと思う。 子どもを持ちたい気持ちがあるなら、時間は考える材料になる。これは焦りとは別の、現実的な計算。 自分の希望と体のことは、パートナー探しとは切り離して、医療の情報として調べておく価値がある。

それは、いい女かどうかとは無関係

ただし、これと、結婚が遅い人の人格評価は、まったく別の話。 時間の制約があることと、独身の人に欠点があることは、繋がらない。 ここを混ぜた形で語られることが多いから、分けて受け取ったほうがいい。焦るなら理由を分かって焦る。他人の言葉に押されて焦るのは、何も生まない。

遅く結婚した人たちに、共通していたこと

断った回数が、多かった

見てきた中で、三十代後半や四十代で結婚した人は、それまでに何回も断ってた。 条件だけなら良かった相手を、直感で見送ってる。もったいない、と周りに言われながら。 その回数の分だけ遅くなってる。ただ、最後に決めた相手との関係は、安定してることが多かった。

生活が、先に完成していた

一人で生きられる形が先にできてる。仕事、住む場所、友達、趣味。 そこに誰かが入ってくるから、相手に求めるものが具体的になる。生活を埋めてもらう必要がないぶん、人として合うかどうかだけを見られる。 早く結婚した人が悪いという話じゃなくて、順番が違うだけ。

探すのをやめていた時期がある

これ、面白いくらい共通してた。 何年か、婚活をやめてた期間がある人が多い。疲れて、もういいや、と一回降りてる。 そして、降りている時期に出会ってる。これは偶然が重なっただけかもしれないし、焦りが抜けた状態だと相手の見え方が変わるのかもしれない。断言はできないけど、何度も見た。

四十手前で結婚した、あの人のこと

冒頭で氷を回した客は、その二年後に結婚した。三十九歳だったと思う。 店に来て、報告してくれて、その日はいつもより長くいた。そして翌月から、ぱたりと来なくなった。 相手は、彼女が仕事で何年も付き合いのあった人だったらしい。特別なきっかけはなくて、ある日ふっと、この人かもな、と思ったと言ってた。 四年間、彼女は店で愚痴ってた。仕事のことも、恋愛のことも。売れ残ってるとは、一度も言わなかった。

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