看護師の恋愛が続かない本当の理由と続いた人の共通点

日勤明けのまま来店した子がいた。まだ髪にシャンプーの匂いが残ってて、でも目は死んでる。ソファに沈んで最初に言ったのが、これ。

「別れたんですけど、悲しいより、あー来たかって感じで」

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生活時間が違う、で片づけられない

二交代も三交代も、ほんとは問題の半分

夜勤があるから会えない。よく言われるやつ。実際そのとおりなんだけど、会えないだけで終わるなら、単身赴任のカップルは全滅してるはずでしょ。

続かない子と続いてる子、どっちも夜勤してる。同じ病棟にいたりする。差は勤務表じゃないところにあった。

俺が見てきた限りだと、分かれるのは回復のしかた。休みの日にどう戻るか。ここで相手を巻き込める人と、ひとりで潜る人がいて、潜る人のほうが恋愛は終わりやすい。

休みの日に電池が切れてる問題

夜勤明けの翌日、起きたら夕方。飯食って、洗濯まわして、気づいたら二十二時。彼氏からのLINEに三行返して寝る。

この日を彼は休日として見てる。彼女にとっては復旧作業の日。同じ土曜という名前がついてるのに、中身が全然ちがうんだよね。

ここを説明しないまま半年たつと、相手の中に、俺は後回しにされてる、という記録だけが積み上がる。悪意ゼロの誤解。いちばんタチが悪いやつ。

職場の空気を持ち帰ってしまう

命の現場から、三時間後に恋愛の話をする無理

急変対応があった日。ご家族に説明があった日。看取りの日。

その日の夜に、彼から、明日どこ行く?と来る。悪くない。むしろ優しいLINEなんだよ。なのに、ぐったりくる。

二十八歳の子がこう言ってた。

「今日人が死んだんだよって言えないの。言ったら、重い女になるから」

重い女、という言葉の使い方が、あまりに自分に厳しくてさ。イラっとしたよ、彼女にじゃなくて、そういう言い方を覚えさせた何かに対して。

感情の出し方を職場で削られる

患者の前で泣かない。家族の前で崩れない。先輩の前で弱音を最小にする。この訓練を毎日やってると、感情の蛇口がだんだん固くなる。

固くなった蛇口は、家でも急には開かない。彼氏が、何かあった?と聞いても、別に、が出る。本人も別にと思ってないのに、口が勝手にそう動く。

この、別に、が十回積もると相手は聞かなくなる。聞かなくなった相手を見て、興味がないんだと解釈する。すれ違いってこうやって完成するんだな、と店で何度も見てきた。

俺が担当した子たちの、似すぎてる別れ話

三ヶ月で終わる恋を三回した子

二十五歳、二年目。付き合ってはすぐ終わる、を繰り返してた。

話を聞くと毎回パターンが同じ。最初の一ヶ月はテンション爆上がりで、会えない分を全部LINEで埋める。二ヶ月目、勤務がきつくなって返信が減る。三ヶ月目、相手が不安を口にする。そこで彼女が言う台詞が、いつもこれ。

「じゃあ、私といても無理だと思う」

自分から切ってた。相手に切られる前に。

なんで先に言うの、と聞いたら、待つのが怖いから、と。結局この子は、仕事の疲労じゃなくて、疲労してる自分を見せる勇気のほうで詰まってた。

逆に、五年続いた子の話

三十一歳、外科病棟。彼氏は営業職で生活時間はバラバラ。それでも続いてた。

何が違うのか気になって、聞いたことがある。返ってきた答えがふわっとしてて、でも刺さった。

「疲れてる姿を、先に見せちゃったから」

付き合って二週間で夜勤明けのすっぴんで会って、そのまま彼の家のソファで三時間寝たらしい。起きたら彼がカレー作ってた。その時点で、取り繕うルートが消えたと。

取り繕えない関係のほうが長持ちする。これ、ホストやってた俺が言うと説得力ないかもしれないけどね(笑)。毎晩取り繕ってたぶん、本物との差はよく見えた。

恋愛が終わる前に出る、小さいサイン

予定を先まで決めなくなる

三ヶ月先の旅行の話が消えて、来週どうする?だけになる。これが出たら、けっこう進んでる。

看護師の場合、勤務表が出るのが前月の下旬だったりするから、先の予定を決めにくいという事情はある。でも決めにくいのと決めなくなるのは違う。

勤務表が出たら、真っ先に彼に空いてる日を送る。これやってる子は続いてた。事務的に見えるけど、この事務作業が、あなたを予定に入れてます、という証明になってたんだと思う。

職場の人間関係の話しか出てこなくなる

会話が全部、先輩が怖いとか、あの医師が面倒とか、そっち一色になったとき。

愚痴が悪いんじゃない。愚痴しかないのが危ない。相手は解決できないし、共感の限界もある。優しい人ほど、ちゃんと聞いて、ちゃんと消耗する。

俺も店で毎晩ずっと聞く側だったから言えるんだけど、聞く側って、感謝されてるうちはいけるのよ。感謝がなくなって当たり前になった瞬間、ぷつんといく。

同業と付き合えば解決する、わけでもない

わかってもらえる安心と、逃げ場のなさ

医師や同僚の看護師と付き合う子、多い。話が通じるし、勤務も理解し合える。楽だと思う。

ただ、うまくいかなくなったとき地獄でさ。職場で毎日顔を合わせる。別れても申し送りする。ナースステーションで空気が濁る。

同業を選ぶなら、終わったときの動線まで想像しといたほうがいい。冷たい話に聞こえるかもしれないけど、想像してある人のほうが、結果的に長く穏やかにやってた。

職業を理解しない相手が、必ずしも悪くない

看護師の仕事をまったく知らない彼氏。最初は説明が面倒。でも、その面倒くささが効くこともある。

病院の空気を家に持ち込まないで済む。仕事の話を一から説明する過程で、自分の中の整理が進む。聞いてくれる人がいると、感情の蛇口がゆるむ。

理解がある人が正解、みたいな話をよく見るけど、現場で見た限りそんな単純じゃなかった。

続く恋に切り替えるために、明日からやれること

疲れてる、を先に言う

大事なのは順番。限界まで我慢して爆発するんじゃなくて、まだ余裕があるうちに、今週きついわ、と投げておく。

説明はいらない。理由を並べると言い訳っぽくなるし、相手も気を遣いすぎる。今週きつい、来週は戻る。それだけ。

これを言えるようになると、相手は勝手に備える。会えない週を、拒絶として受け取らなくなる。

会えない日の連絡を、短く軽くする

長文で埋めようとしなくていい。三行でいい。

意外と効くのが、意味のない連絡のほう。病院の自販機が壊れてた、とか。今日の昼食がやたら旨かった、とか。用件がないLINEって、相手の中に、この人の日常に自分がいる、という感覚を作るんだよね。

好きとか会いたいを連打するより、たぶんこっちが残る。

回復の時間を、隠さず予定に組み込む

日曜は昼まで寝る。これを事前に宣言しとく。隠して、起きたら夕方で罪悪感、というループから抜ける。

その代わり、起きてからの三時間は彼のものにする。短くてもいい。短いからこそ、密度が出る。

あの、日勤明けで来た子。あー来たか、と言ってた子は、半年後に新しい彼と付き合った。店に来る回数は減った。最後に来たとき、笑いながらこう言ってたのを覚えてる。

「今度の人には、最初からボロボロの私見せてます」

それが答えなんだろうな、と思いながら、俺はいつもどおり氷を足した。

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