酒癖が悪い女性は本性なのか?酔う心理と彼女の本音

午前四時のホストクラブは、照明がほんの少し明るくなる。

ラストソングが終わって、ボトルの底のシャンパンがぬるくなっていく時間帯。その夜、ソファの端でひとりの女の子が、ヒールを片方脱いだまま、天井に向かって元彼の名前を叫んでた。

昼間は銀行の窓口に座ってる子。爪はいつも短く切りそろえてて、声も小さめ。

この人、明日の朝になったら、どこまで覚えてるんだろ

空いたグラスを下げながら、ずっとそればかり考えてた。

目次

酒癖が悪い女性は、本性が出ているわけじゃない

酒は鍵じゃなくて、栓抜きに近い

酒を飲むと本性が出る、ってよく言うじゃん。あれ、半分だけ当たってると思ってる。

酒は、心の奥の金庫を開ける鍵じゃない。どちらかといえば栓抜き。栓を抜いた瞬間に何が噴き出すかは、それまでどれだけ瓶を振られてきたかで決まる。

昼間ずっと我慢してる人ほど、勢いよく噴くわけ。上司に言い返せなかった一言、恋人に言えなかった寂しさ、親に飲み込んだ反論。全部が炭酸みたいに、瓶の中で圧を上げてる。

だから酔って泣く子は、泣き虫なんじゃなく、泣ける場所がなかっただけのことが多い。本性っていうより、溜まりすぎた在庫の大放出なんだよなぁ。

女性の酒癖だけ、なぜか厳しく裁かれる

ちょっと脱線っぽいけど、ここは外したくない。

ある常連さんが、ロックグラスを揺らしながらぼやいてた。

「女が酔って騒ぐとだらしないって言われるのに、男だと武勇伝になるの、ずるくない?」

ほんとそれ、としか返せなかったわ。同じ量を飲んで同じように騒いでも、評価の物差しが最初から違う。

体の話もある。女性は体内の水分量やアルコールを分解するペースの違いから、同じ量でも酔いが回りやすい人が少なくない。男と同じペースで飲んで潰れるのは、意志が弱いからじゃないってこと。

飲み会で男たちに合わせて杯を重ねてた子が、帰りのエレベーターで急にしゃがみ込む。そんな場面を、何十回見てきたかわからない。

泣く子、絡む子、甘える子、記憶が消える子

酒癖が悪い、とひとまとめにされがちだけど、出方は人によってまるで違う。

泣く子は、たいてい頑張りすぎてる。普段から頼られ役の人ほど、三杯目あたりで目のふちが赤くなるんだよ。

絡む子は、言えなかった不満を抱えてる。説教が始まったら、その宛先は目の前の人じゃなく、別の誰かだったりするのさ。

甘える子は、寂しさの貯金が底をついてる。距離感がバグって、隣の誰にでも寄りかかる。翌朝、本人が誰より頭を抱えるのがこのタイプ。

記憶が消えるまで飲む子は、少し別枠かな。楽しいから飲むんじゃなく、何かを忘れたくて飲んでることがある。ここは最後にもう一度触れるね。

ホストクラブのソファで聞いた、彼女たちの言い訳と本音

酔った女の子の本音って、だいたい閉店間際にこぼれてくる。照明が明るくなって、魔法が解けかけたあたりで。

シラフじゃ言えないから飲むの、と言った子

アパレルで店長をしてた子が、ある夜、グラスの氷を見つめたまま言った。

「シラフで言えないことがあるから飲むの。飲まなきゃ言えない自分も、嫌いなんだけどさ」

部下の前では弱音を吐けない。彼氏の前ではいい彼女でいたい。だから酒の力を借りて、やっと本音を外に出す。でも出したら出したで、翌朝それを死ぬほど後悔するっていう。

酒癖が悪い、のすぐ裏側には、往復ビンタみたいな自己嫌悪が貼りついてる。あの時、やっと腑に落ちたっけな。

三杯目でタクシーを呼んでもらう、と決めていた子

自分の酒癖をちゃんと分かってる子もいた。

「彼氏と決めてるの。私が三杯目を頼みかけたら、彼が黙ってタクシー呼ぶって。三杯目から、私じゃなくなるから」

そう言いながら、その日は店で四杯目を頼んでた(笑)

でも、この話には目から鱗が落ちた。自分の酒癖を責めるんじゃなく、二人で取扱説明書を作ってる。酒癖ってひとりで直すものだと思い込んでたけど、隣にいる人と一緒に手綱を握るやり方もあるんだなって。

送信履歴だけが残っている朝

これは何人もの女の子から、ほぼ同じ言葉で聞いた話。

「記憶ないのに、LINEの送信履歴だけはちゃんと残ってるの。あれ地獄だから」

元彼に送った長文。好きな人に投げた意味不明なスタンプ。夜中の二時に上司へかけた謎の電話。なんか、朝のスマホってほとんど事件現場なんだって。

画面を開く瞬間、首の後ろにヒヤッと冷たいものが走る。そう話す子の顔は、笑ってるのに目だけ笑ってなかった。

この話を聞いてから、乾杯の前に、今日は誰にも連絡しなくていいようにってスマホをバッグの奥にしまってもらうようにしてた。

飲ませる側にいた僕の、ちょっと情けない告白

実は僕も、酒癖がひどかった

ここまで偉そうに書いてきたけど、白状すると、僕自身の酒癖が最悪だった。

入店一年目。シャンパンが入るたびに一気して、気づいたら閉店後の更衣室で寝てた、なんてのはまだマシなほう。

一度、お客さんの前で突然泣き出したことがある。何が悲しかったのか、まるで思い出せない。翌日先輩に聞いたら、お前、実家の犬の話して号泣してたぞ、と言われた。

犬って!(泣)

(いや、犬は悪くない。悪いのは僕の飲み方)

顔から火が出るって、ああいうときのためにある言葉なんだろうな。まさかそのお客さんが、それから前より店に来てくれるようになるとは思わなかった。人の弱いところって、案外嫌われないんだな、と知った夜でもあったわけさ。

グラスを置かせる技術は、優しさから生まれていた

ホストって飲ませるのが仕事、と思われがちでしょ。売上のために、そういう面があったのも否定はしない。

それでも長く続いてる先輩ほど、お客さんに飲ませすぎない技術を持ってた。

話が盛り上がってる最中にさりげなく水のグラスを滑らせたり、乾杯を減らすためにわざと長い話を始めたり。顔が赤くなってきた子には、次はこれ試してみて、とノンアルのカクテルを冗談まじりに出してた。

潰れたお客さんは、次に来てくれないから。それに、潰れる手前で止めてくれた人のことを、女の子は意外と覚えてるもの。

先輩たちのこの手つき、恋人の酒癖に悩む男性にもそのまま流用できるって話。

恋人の酒癖が悪いとき、男はどこで判断すればいいのか

彼女の酒癖が悪くて、このまま付き合っていいのか、結婚まで考えていいのか迷ってる男の人もいるよね。

ホスト仲間のあいだで、よく出てた話がある。酔って少しだけ隙が見える子は可愛い。でも、記憶をなくして別人になる子はちょっと怖い。境目は、本人がまだハンドルを握ってるかどうか、なんだって。

そのハンドルが握れてるかは、酔ってる最中より、むしろ翌日に見えてくる。

翌朝の彼女のひと言に、全部出る

酔った夜の彼女より、次の日の彼女を見てほしい。

ごめん、昨日ひどかったよね、と自分から言える子。何を言ったか覚えてなくても、覚えてないこと自体を怖がってる子。こういう人には、酒癖と向き合う余地がちゃんと残ってる。

酔ってたんだから仕方ないじゃん、で毎回終わらせる子もいる。その言葉が口癖になってるなら、問題は酒より、責任の置き場所のほうにあるかもしれない。

冒頭の銀行員の子は、翌日の昼、僕のスマホに三十行くらいの謝罪文を送ってきた。読みながら、ああ、この子は大丈夫だ、と思ったのを覚えてる。

酔った勢いの暴言と、酔いを言い訳にした暴言は違う

酒が入ると口が悪くなる人はいる。でも、毎回同じ相手にだけ同じ種類の言葉をぶつけてるなら、それは酔いだけのせいじゃない。シラフのときから抱えてる不満を、酒を盾にして吐き出してるだけ。

手が出る、物を投げる、まで行ったら、もう酒癖の話じゃないからね。ガシャン、とグラスが床で割れる音を、店で一度だけ聞いたことがある。割った本人より、周りの空気のほうが凍りついてた。

自分が怖い思いをしてるなら、彼女を直すより先に、自分の身を守ることを考えていい。そこは遠慮しなくていいとこ。

一緒に飲むときにできる、地味だけど効く工夫

先輩たちの手つきを、恋人向けに少しだけ翻訳してみる。

飲み始める前に、今日は何時に帰るかを二人で決めておく。終わりの時間が見えてるだけで、ペースって自然と落ちるんだよ。

彼女のグラスが空きそうになったら、水を頼んでみて。飲みすぎだよ、と注意するより、喉乾いたから水もらおうか、と自分の話にしちゃうのがコツ。上から言われると、人は意地でももう一杯頼みたくなるから(笑)

酔ってからの話し合いは、絶対にしないこと。酔った相手に正論を並べても、翌朝には一行も残ってない。話すなら次の日の昼、コーヒーでも飲みながら。三杯目でタクシーの子みたいに二人のルールを作るなら、そのタイミングがいちばんいい。

自分の酒癖が悪いと気づいた女性へ

記憶が飛んだ夜を、恥で塗りつぶさなくていい

朝目が覚めて、起き上がった瞬間に頭がグラッとする。昨日の夜が、二軒目あたりから先は真っ白。

ため息しか出ない、あの胃の底が冷えていく感じ。わかるよ。犬の話で号泣した男なので。

ただ、恥ずかしさで自分を責め倒しても、次の飲み会でまた同じことが起きる。恥と反省は別物でさ。恥は自分を縮こまらせるだけで、次の行動を何ひとつ変えてくれない。

それより、なんであの夜はあんなに飲んだんだっけ、と一回振り返ってみるといい。疲れてたのか、寂しかったのか、誰かに言いたいことがあったのか。グラスの数より、その手前にあった気持ちのほうに、答えが隠れてる。

飲む前に決めておく、たったひとつのルール

ルールは、いくつも作らなくていい。まぁ、どうせ守れないから。

ひとつだけ決めるなら、飲み始める前に、今日の上限を誰かに口に出して伝えておくこと。友達でも彼氏でもいい。声に出した上限は、頭の中だけで決めた上限より、ずっと破りにくいんだ。

ひとつって言ったのに付け足すけど、スマホは乾杯の前にバッグの奥へ。朝の事件現場が減るだけで、自己嫌悪の重さは半分くらいになるから。

結局、酒癖って、意志の強さより段取りでどうにかなる部分のほうが大きいんだよね。

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