ピンクが好きな人の性格と恋愛。甘えん坊に見えて芯が強いワケ

「お前、明日からピンクのシャツ着てこい」

入店して二週間目。先輩に突然そう言われた。

「なんでですか」

「怖くない男に見えるから」

(いや、似合う気が一ミリもしないんだが?)

翌日、言われたとおりピンクを着て、鏡の前で固まった。顔だけ浮いてる…。まぁ、着るしかないから着た。

ところが席に着いたとたん、テーブルの空気がふわっとゆるんだ。お客さんの口数が、いつもより明らかに多い。シャツ一枚でこれか、とまさかの展開に、笑いをこらえるのに必死だった。その日から一ヶ月、ピンクの日だけ指名が伸びていく。悔しいけど、ちょっと嬉しかった。

海外には、刑務所の壁をピンクに塗って、気持ちが落ち着くか試した例もあるらしい。効いたという報告もあれば、効果なしという声もある。

ピンクが好きって言うと、ぶりっ子とか、若作りとか、余計なラベルを貼られがち。そのせいで、好きな色を小さな声でしか言えなくなってる人もいる。

甘くて、弱くて、ちょっと子どもっぽい。ピンク好きの性格は、世間ではそう思われてる。店で何年もピンクを見てきた僕の感想は、ほぼ逆。ピンクを選ぶ人は、愛されたい気持ちを、自分に許せる人。それ、実はけっこう強くないとできないんだよね。

ピンクが好きな人の性格は、甘えを認められる強さ

店で出会ったピンク好きの顔を思い浮かべると、共通点が浮かぶ。優しくて、人の気持ちに敏感で、愛情表現がまっすぐ。おまけに、見た目よりずっと現実的。

愛されたい、を隠さない

大人になるほど、愛されたいって気持ちは隠すものになっていく。欲しがってると思われたくない。重い女だとも見られたくない。

ピンクは、その気持ちを持ち物にして、外に出した色。ほぼ宣言に近い。色彩心理でも、ピンクは愛情や思いやりの色として扱われてる。

寂しいって最初に口にできる子の手元には、たいていピンクの小物があった。

「今日は、誰かにかわいいって言われたくて来た」

乾杯より先に、そう言い切った子もいる。あそこまで素直だと、こっちも構えずに済む。言えない子より、言える子のほうが、立ち直りも早かった。甘えるのが上手な人は、たいてい甘やかすのも上手。人の誕生日も、よく覚えてた。

甘い顔の真ん中に、いちご大福の酸っぱさ

ピンクが好きな人は、いちご大福に似てる。外はやわらかくて甘いのに、真ん中に酸っぱい芯がある。

ピンクのセットアップで来て、会計の明細を一行ずつ、ペン先で確かめてた子がいた。ピンクの手帳の中身は、一円単位の家計簿。決めるべきところでは、迷わない。結局、別れ話を先に切り出すのも、ピンクの子のほうが多かった。

嘘には敏感で、一度つかれた嘘は何年たっても忘れない。甘い見た目に油断すると、あとが怖い。

緊張してる新人に、真っ先に話を振ってあげるのも、ピンクの子。自分が甘えたい人は、人が甘えたい瞬間にも鼻が利く。

いちご大福の酸っぱさは、甘さを最後まで飽きさせないためにある。ピンクの子の芯も、たぶん同じ役目。

ピンクを選ぶ男は、自分に甘くない

店の先輩に、ペンも名刺入れもキーケースも、全部ピンクの人がいた。見た目はゆるいのに、売り上げの管理は誰も真似できないほど細かい。

ピンクが好きな男性は、世間の目を一回くぐり抜けてる。男がピンク、って視線を、平気な顔で受け流せる。その時点で、芯の太さはお察し。そういう男は、女の子の小さな変化にもよく気づく。

昔の欧米では、ピンクが男の子の色だった時代もあったと聞く。色の性別なんて、案外そのくらい適当なもの。

あのシャツを照れずに着られるようになるまで、僕は三ヶ月かかった。初めて着た日の帰り、コンビニの店員さんに、今日は何かのお祝いですかって聞かれたし(笑)

ピンクを身につける場所で、性格の出方が変わる

ピンク好きを見分けるなら、濃さより場所を見る。どこにピンクを置いてるかで、その人の甘え方がわかる。指名をもらってた頃も、席に着いてまず目で追ってたのは、お客さんのピンクの位置。

服でピンクを着る人は、見られる覚悟ができてる

全身、あるいは上半身にピンクを持ってくる人。このタイプは、人に見られることを怖がらない。むしろ、見られて元気になる。

かわいいと褒められたら、素直にありがとうと返せる。謙遜で打ち返さない。これ、簡単そうで意外と難しい!

ピンクを着る日を、勝負の日に決めてる子もいた。面接、プレゼン、告白。甘い色で背中を押すって発想。

そのぶん、ピンクを着てるのに元気が出ない日は要注意。服と気分がずれてる日が、ピンク好きの危険信号。

小物や香りだけピンクの人は、甘さを小分けにして持ち歩く

ポーチ、ペン、スマホケース。服は落ち着いた色なのに、小物だけピンクの人。

甘さの配分が上手な人たち。職場では頼れる人の顔をして、カバンの中にだけ甘さを隠してる。疲れたときにそのピンクに目をやって、一口分だけ自分を甘やかす。

桜やピーチの香りをまとう人も、この仲間。目に見えるピンクは持たないのに、そばまで来た人しか、その甘さに気づけない。距離を詰めた人だけがもらえる、ご褒美の甘さ。

付き合っていくと、この小分けの甘さを、少しずつこっちにも分けてもらえる。

ネイルだけピンクの人は、自分の指先で機嫌を取る

ネイルだけは、絶対ピンク。そういう子も、店に何人かいた。

「キーボード叩いてて、指先がピンクだと、ちょっとだけ機嫌が戻るの」

事務職の子の言葉。自分の機嫌を、自分で取る道具を持ってる。これができる人は、恋人に機嫌を丸投げしない。

ただ、そのネイルが伸びたまま塗り直されてなかったら、かなり余裕がない証拠。恋人なら、そこは見逃さないでおきたい。

ピンクが好きな人の恋愛傾向

好きになると、全部顔に出る

ピンクの子の恋は、とにかくわかりやすい。好きな人の名前が出ると、頬がポッと赤くなる。LINEの絵文字に、ある日からピンクのハートが増える。デートの服に、ピンクが一点ずつ足されていく。

隠す気がないわけじゃない。隠せないだけ!その不器用さこそ、ピンクの子の武器。本気かどうかは、弱いところを先に見せてくるかで見分けがつく。

好きって言葉は、何回聞いても減らない

ピンクの子は、言葉を欲しがる。好き、かわいい、会いたい。何回言われても、そのたびにキュンとできる人たち。

言いすぎたら安っぽくなる、と考える男は多い。でも、この子たちの前では、その心配はいらない。好きの在庫は、口にするほど増えていく。文字より声のほうが、在庫の減りはもっと遅い。

逆に、言わなくてもわかるでしょ、は禁句。わかってても、聞きたいんだから。

放っておかれると、花みたいにしおれる

ピンクの花は、水を切らすと、色から先に元気をなくす。ピンクの子も、そこは同じ。

連絡が減ると、まず笑い方が小さくなる。送られてくるスタンプからハートが消えて、無難な動物ばかりに。

嫉妬したときも、怒るより拗ねるタイプ。怒ってないよ、と口では言うのに、返事がひらがなだけになる。

一気に冷めるのは、かわいくいようとする努力を笑われたとき。新しい色のリップを、似合わないって鼻で笑われた夜のことを、何年も覚えてた子がいる。

水やりは、少しずつでいいから毎日。週末にまとめて一気にあげるより、こまめなほうが長持ちする。

大人になってもピンクが好きなのは、痛いのか

この歳でピンクって、痛いよね

「この歳でピンクって、痛いよね」

四十手前の常連の子が、苦笑いしながら言った。職場の若い子に、それ若作りですかって笑われたらしい。バッグの内ポケットから、ピンクのハンカチの角がのぞいてる。

正直言って、当時の僕は、そんなことないよ、としか言えなかった。営業トークみたいに聞こえた気がして、帰り道でずっと悔しかった(泣)

次に来た夜のハンカチは、紺色。

今ならこう返す。痛いか痛くないかは、年齢じゃなく似合わせ方で決まる。ピンクをやめる理由に、誕生日の数字を使わなくていい。

ぶりっ子って言われて、ピンクを封印した子

ピンクが好きなのに、ピンクを着なくなった子もいた。元彼に、ぶりっ子っぽいと言われたのがきっかけ。衣装ケースのいちばん下に、全部しまい込んだらしい。

「ピンクを着ない日は、ちょっとずつ自分に嘘ついてる気がする」

終電を気にしながら、その子はそう言った。

ぶりっ子のピンクと、ピンク好きのピンクは、似てるようで別物。人に見せるために選ぶピンクもあれば、自分が機嫌よくいるためのピンクもある。自分のためのピンクなら、誰に何を言われようと、手放さなくていい。ぶりっ子って言葉は、だいたい言った側の余裕のなさを映してる。戻るなら、ハンカチ一枚からで十分。

大人のピンクは、くすみと面積で変わる

大人がピンクを楽しむなら、見るところは二つ。色味と、面積。

色味なら、くすみピンクやピンクベージュ。灰色や茶色が少し混ざったピンクは、甘さが落ち着いて、肌にもなじみやすい。面積は、最初は小さく。ストール、リップ、ネイル。顔まわりか指先に一点だけ置くと、ピンクは急に大人の顔をする。

合わせる色は、グレーやネイビー、黒。甘さの隣に辛口の色を置くと、ピンクが幼いほうへ転ばない。男が取り入れるなら、白に近い淡いピンクのシャツから。僕みたいに、濃いのからいくと事故る。

ちなみにピンクという名前は、撫子の花の英語名から来てるらしい。和名で言えば撫子色。そう聞くと、急に大人っぽく思えてくるから不思議。

ホストクラブで見た、ピンクにまつわる本音

家の中だけ、全部ピンクなの

「家の中だけ、全部ピンクなの。誰にも言ってないけど」

外ではいつも黒い服を着てた子が、閉店間際に白状した。カーテンも、スリッパも、ドライヤーまでピンクらしい。

(ギャップが強すぎる…)

なんか、あの一言で、ピンクの見え方が変わった。外で甘えられない人ほど、帰る場所を甘くしておく。外の黒は、中のピンクを守る包装紙。家に着いて包みをほどいた瞬間に、ピンクに迎えられたいんだよね。

この子の家に呼ばれた人は、もう最上級の信頼を手にしてる。

ピンクのシャンパンが入る夜

ホストクラブには、ピンドンって呼ばれる、ピンク色のシャンパンがある。店でも指折りの高い一本。

あれが入ると、店中のホストが集まってくる。お客さんの名前を叫ぶ、シャンパンコールの始まり。何十万も払って、名前を呼ばれるたった数十秒。あれを入れてくれる子ほど、帰り際、店の階段を下りる背中が少しだけ小さく見えた。

ピンクは、愛されてる証拠を、目に見える形にしたいときに選ばれる色。それに気づいたのは、夜の仕事から足を洗ったあと。はぁ…その気持ちが売り上げになる仕事を、僕はしてた。複雑な気分は、今も消えてない。

恋人が何かを形にしたがっても、物が欲しいとは限らない。確かめたいだけ、ってことがほとんど。値段より、確かめられたって実感のほうを渡す。名前を呼ぶだけなら、お金はかからない。

ピンクが好きな人との付き合い方

かわいい、より、似合ってる。子ども扱いはしない

ピンクの子に、かわいいね、は定番。でも言い方ひとつで、子ども扱いに聞こえることがある。

そこで効くのが、似合ってる、のひとこと。かわいい、は持ち物への評価で、似合ってる、は選んだ本人への評価。同じ褒め言葉でも、届く場所が違う。

ピンク好きなのは甘えたいからでしょ、と勝手に理由を貼りつけるのもやめておきたい。好きな色を他人に心理分析されるのは、誰だってうっとうしい。

プレゼントも、ピンクにこだわる必要はなし。この子たちが何より求めてるのは、言葉のほう。何を贈るにしても、短いメッセージを一枚添える。それだけで、中身の値段が倍くらいに化ける。記念日なら、覚えてたこと自体が、もうひとつの贈り物。

ピンクは、優しくするから優しくして、の合図

あの時、先輩がピンクを着ろと言った理由を、今はもう少し深く理解してる。

ピンクは、怖くないよって合図。こっちは優しくするから、そっちも優しくして。そんな小さな約束が、あの色には入ってる。

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